育休・休職・長期休暇中でも年末調整は必要?判断ポイント解説
目次
はじめに
年末調整の時期になると、「育休中の社員は対象になるのか」「休職して給与が出ていない人も年末調整が必要なのか」といった質問が人事・総務担当者から多く寄せられます。対応を誤ると、従業員に確定申告を強いることになったり、会社側の手続きミスにつながることもあります。本記事では、育児休業・私傷病休職・長期休暇中の従業員について、年末調整が必要となる判断基準をケース別に整理し、実務で迷わないためのポイントをわかりやすく解説します。

1.年末調整の基本ルールを整理
1-1.年末調整が必要になる条件とは
年末調整は、原則として「年末時点で在職しており、その会社が主たる給与の支払者である従業員」を対象に行います。重要なのは、年末時点で給与の支払いがあったかどうかではなく、「年内に給与の支払いがあり、源泉徴収を行っているか」です。そのため、年の途中で一時的に休職していても、復職前後に給与支給があれば年末調整の対象となる可能性があります。逆に、年内に一切給与支給がない場合は、年末調整自体ができないケースもあります。
1-2.「年末調整できない人」の基本的な考え方
年末調整ができないのは、主に「年内に給与支給がない」「退職して再就職していない」「複数社から給与を受けており主たる給与の申告がない」などの場合です。休職や育休中であっても、これらの条件に該当しなければ年末調整の対象になります。休んでいる=年末調整不要、という判断は誤りになりやすいため、給与の支給実績と在籍状況を正確に確認することが重要です。
2.育児休業中の従業員の年末調整
2-1.育休中でも年末調整が必要なケース
育児休業中であっても、年の途中まで給与が支給されていた場合や、年内に一時的に復職して給与が支払われた場合は、年末調整の対象となります。育休中は社会保険料が免除されるため、「年末調整は不要」と誤解されがちですが、免除されるのは社会保険料であり、所得税の精算とは別問題です。給与支給がある以上、扶養控除や生命保険料控除などを反映させるためにも年末調整は必要となります。
2-2.育休給付金と年末調整の関係
育児休業給付金は、雇用保険から支給される給付金であり、所得税の課税対象ではありません。そのため、給付金自体を年末調整で申告・精算する必要はありません。ただし、「給付金しか受け取っていない=年末調整不要」と判断するのは危険です。年内に給与支給が一度でもあったかどうかが判断基準となるため、育休開始前の給与支給状況を必ず確認しましょう。
3.私傷病休職・休職中の場合の判断ポイント
3-1.休職中で給与支給がある・ない場合の違い
私傷病による休職中であっても、会社から休職給や給与が支給されている場合は年末調整の対象になります。一方、無給休職で年内に一切給与が支払われていない場合は、会社では年末調整ができません。この場合、従業員自身が確定申告を行うことになります。休職規程の内容によって対応が異なるため、「休職=無給」と決めつけず、実際の支給状況を確認することが重要です。
3-2.傷病手当金を受給している場合の注意点
健康保険から支給される傷病手当金も、育休給付金と同様に非課税所得です。そのため、年末調整には直接影響しません。ただし、傷病手当金を受給している期間の社会保険料は、原則として免除されない点に注意が必要です。給与支給の有無、社会保険料控除の扱いを整理したうえで、年末調整の可否を判断しましょう。
4.長期休暇・無給休暇中の年末調整対応
4-1.無給が続いている場合の年末調整の扱い
長期の無給休暇が続き、年内に一度も給与が支給されていない場合、会社では年末調整を行うことができません。この場合、源泉徴収票は「0円」で交付し、従業員が自ら確定申告を行うことになります。年末調整をしない理由を従業員に丁寧に説明しておかないと、「会社の手続き漏れ」と誤解されることがあるため、事前の周知が重要です。
4-2.年内復職予定がある場合の実務対応
年末までに復職予定があり、給与支給が再開される見込みがある場合は、年末調整を前提に準備を進めます。控除申告書の提出タイミングや、休職前後での扶養状況の変更なども確認が必要です。復職時期が不確定な場合は、年末調整が可能かどうかをギリギリまで見極め、難しい場合は確定申告案内に切り替える柔軟な対応が求められます。
5.年末調整ができない場合のフォローと実務対策
5-1.確定申告が必要になる従業員への説明方法
年末調整ができない場合は、「会社が対応しない」のではなく「制度上できない」ことを明確に説明することが大切です。確定申告が必要となる理由、申告期間、源泉徴収票の使い方を簡潔に案内すると、従業員の不安や不満を軽減できます。文書や社内FAQとしてまとめておくと、毎年の問い合わせ対応も楽になります。
5-2.トラブルを防ぐための社内ルール整備
育休・休職・長期休暇中の年末調整対応については、社内ルールとして整理しておくことが理想です。就業規則や休職規程と合わせて、年末調整の扱いを明確にしておくことで、担当者ごとの判断ブレを防ぐことができます。特に従業員数が増えてきた企業では、制度理解の属人化を避けることが重要です。
まとめ
育休・休職・長期休暇中であっても、年末調整が必要かどうかは「年内の給与支給の有無」が大きな判断基準となります。給付金の有無や休業の種類だけで判断すると、誤った対応につながりやすいため注意が必要です。毎年の年末調整をスムーズに行うためにも、事前確認とルール整備を徹底しましょう。
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育休・休職者の年末調整対応は、制度理解と実務判断の両方が求められます。
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✅ 社内説明用 文例
【育休・休職中の年末調整についてのご案内】
年末調整は、年内に当社から給与の支給があった方を対象に実施します。
育児休業・休職中であっても、年内に給与支給がある場合は年末調整の対象となります。一方、年内に給与の支給がない場合は、当社で年末調整を行うことができませんので、必要に応じてご自身で確定申告を行っていただくことになります。
育児休業給付金や傷病手当金は非課税のため、年末調整の対象には含まれません。
ご不明点がある場合は、人事担当までお問い合わせください。
✅ FAQ形式
Q1.育休中ですが、年末調整は必要ですか?
A. 年内に給与の支給があれば必要です。育休給付金のみの場合は対象外ですが、育休開始前に給与支給があった場合は年末調整を行います。
Q2.休職中で給与が出ていません。年末調整はどうなりますか?
A. 年内に給与支給がない場合、会社では年末調整ができません。この場合は、必要に応じてご自身で確定申告を行っていただきます。
Q3.傷病手当金を受給していますが、申告は必要ですか?
A. 傷病手当金は非課税のため、年末調整や確定申告で申告する必要はありません。ただし、給与支給の有無によって年末調整の可否は判断されます。
Q4.年末調整をしてもらえないのは会社のミスですか?
A. いいえ。制度上、年内に給与支給がない場合は年末調整ができない仕組みになっています。そのため、確定申告で対応いただく形となります。
Q5.復職予定ですが、年末調整はどうなりますか?
A. 年内に復職し給与支給が再開される場合は、年末調整の対象となります。復職時期によって対応が異なるため、事前に人事担当へご相談ください。