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従業員の権利義務を徹底解説|企業と労働者が守るべき基本ルール

はじめに

従業員は労働契約に基づき企業に雇用される立場である一方、法律で保障された権利を持ちます。そして同時に、職場の秩序を守り誠実に働く義務も負っています。これらの理解が不足すると、未払い残業やハラスメント、規律違反など労使トラブルにつながる可能性があります。本記事では、従業員の権利と義務の両面を整理し、企業が取るべき実務対応をわかりやすく解説します。


1. 従業員の基本的な権利とは

1-1 労働基準法で保障される権利

労働者は、労働基準法などの法律により最低限の労働条件が保障されています。具体的には、労働時間・休憩・休日に関する規制、時間外労働に対する割増賃金、有給休暇の取得などです。これらは「譲れない最低基準」であり、会社が独自の規定で下回ることはできません。経営者は、従業員の権利を十分理解し、法令違反にならないよう制度整備を進める必要があります。

1-2 健康・安全に働くための権利

従業員には、安全で健康に働ける環境を求める権利もあります。労働安全衛生法に基づき、事業者は職場の安全対策や健康診断の実施、ストレスチェックなどを義務づけられています。過労死やメンタル不調の社会問題化を背景に、企業には従業員の健康配慮義務が強く求められています。これらの施策を怠ると、労災認定や損害賠償請求に発展するリスクがあるため注意が必要です。


2. 従業員の義務と職場規律

2-1 業務命令への服従義務

従業員は、企業からの合理的な業務命令に従う義務があります。これは「労務提供義務」とも呼ばれ、労働契約に基づいて労働力を提供する責任の一部です。ただし、違法な命令や安全を害する指示に従う必要はありません。企業側も命令の合理性を担保することが大切で、無理な指示や職務外の負担を押し付けると、パワハラや労務トラブルに発展する可能性があります。

2-2 秘密保持義務と誠実義務

従業員は企業の業務上知り得た秘密を外部に漏らさない義務を負っています。また、勤務時間中にサボタージュをしたり、会社の利益に反する行為をしない「誠実義務」もあります。これらの義務違反は懲戒処分や損害賠償請求の対象となる場合があります。企業としては就業規則や雇用契約書に明記し、従業員への周知徹底を図ることでリスクを防ぐことが重要です。


3. 労使トラブルに発展しやすいケース

3-1 長時間労働や未払い残業問題

労働時間管理の不備は、労使トラブルの代表例です。残業代未払いは訴訟リスクが高く、過去に遡って請求される可能性もあります。労働時間の上限規制や36協定の遵守は必須であり、勤怠管理システムの導入や労働時間の見直しを怠ると大きなリスクを抱えることになります。企業は「時間管理の透明化」を徹底する必要があります。

3-2 ハラスメントや職場秩序の乱れ

職場でのパワハラやセクハラは従業員の権利侵害に直結します。ハラスメントが放置されると、従業員のモチベーション低下や退職、訴訟に繋がるケースも多いです。また、職場秩序が乱れると生産性が低下し、組織全体の信頼性を損なう恐れがあります。企業は相談窓口の設置や研修の実施を通じて、未然に防止する仕組みを整備することが求められます。


4. 企業が取るべき対応策

4-1 就業規則や労働契約の明文化

従業員の権利義務を明確にするためには、就業規則や労働契約書でルールを文書化することが基本です。労働条件の曖昧さは誤解やトラブルの原因となります。特に、労働時間・休暇・解雇要件・懲戒規定などは明文化し、全社員に周知することが不可欠です。定期的な見直しと更新を行い、法改正にも対応していく必要があります。

4-2 労務管理体制の整備と研修

制度を整えるだけでなく、実際に運用できる体制づくりが大切です。勤怠管理システムの導入や管理職向けの労務研修、ハラスメント防止研修などを実施することで、ルールを現場に浸透させることができます。労務管理体制の整備は、従業員の安心と企業の信頼性向上に直結します。


5. トラブル防止のための実務ポイント

5-1 権利義務を周知する仕組みづくり

従業員に権利義務を理解させるには、入社時のオリエンテーションや定期的な研修が有効です。社内ポータルサイトで就業規則を公開する、FAQを整備するなど、従業員がいつでも確認できる仕組みを構築することが重要です。透明性の高い環境がトラブル防止につながります。

5-2 社労士活用によるリスク回避

労働法制は頻繁に改正されるため、最新情報をキャッチし運用に落とし込むのは容易ではありません。社会保険労務士に相談すれば、制度整備から運用サポートまでトータルで支援を受けられます。特に労使トラブルの予防や助成金活用を視野に入れる場合、社労士の専門的な知見は企業にとって大きな力となります。


まとめ

従業員には「権利」と「義務」の双方があり、企業はこれを適切に整備・周知する責任があります。労働条件の明文化や労務管理体制の整備、ハラスメント防止策などを進めることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。労使双方が正しく理解し合うことで、健全で生産性の高い職場づくりが実現します。


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