【企業向け】服務規律の作り方|規定例と運用の注意点を解説
目次
はじめに
服務規律は、企業秩序を守り、職場トラブルを未然に防ぐために不可欠なルールです。適切に整備されていないと、従業員のモラル低下や情報漏洩などの問題を引き起こす恐れがあります。しかし、漠然とした表現や不十分な規定では、運用時にトラブルにつながることも。本記事では、服務規律の基本から規定例、運用上の注意点まで、企業が押さえておくべきポイントを解説します。

1. 服務規律とは?基本的な役割
1-1 服務規律の定義と就業規則での位置づけ
服務規律とは、従業員が職場で守るべき基本的な行動指針です。就業規則の一部として位置づけられ、遅刻・欠勤の管理、勤務態度、誠実義務、守秘義務などが含まれます。企業にとっては労務管理の基盤となり、従業員にとっては行動の目安を示す存在です。
1-2 服務規律が企業に与える影響
服務規律は、職場の秩序維持や円滑な業務遂行に直結します。明確な規律があれば、従業員間のトラブルや規範意識の低下を防げます。一方で不十分な規律は、曖昧な運用による不公平感や労働争議の火種になりかねません。
2. 規定例に見る服務規律の内容
2-1 勤務態度や誠実義務に関する規定
服務規律の中心は「勤務態度」と「誠実義務」に関する規定です。例えば「職務に専念し、職務命令に従うこと」や「誠実に業務を遂行すること」といった表現が一般的です。従業員の基本姿勢を明示することで、業務の円滑化や信頼関係の構築に役立ちます。
2-2 情報管理や守秘義務に関する規定
現代の企業において、情報管理は服務規律の中でも重要な要素です。顧客情報や社内機密を漏らさない義務を明確にすることで、情報漏洩リスクを防ぎます。具体的には「在職中および退職後も秘密を保持する」などの条項を盛り込みます。
3. 服務規律作成の実務ポイント
3-1 明確で具体的な表現を心がける
服務規律を作成する際は、曖昧な表現を避け、誰が読んでも理解できる具体的な記載が求められます。例えば「勤務態度は良好であること」では不十分で、「上司の正当な指示に従い、職務を遂行すること」といった明確な記載が有効です。
3-2 業種や企業規模に応じたカスタマイズ
服務規律はすべての企業に共通する部分もありますが、業種や規模に応じたカスタマイズが必要です。IT企業なら情報管理を強調し、製造業なら安全衛生を重視するなど、自社の実態に合った規律にすることが重要です。
4. 運用上の注意点とトラブル事例
4-1 服務規律違反と懲戒処分の関係
服務規律は懲戒処分と密接に関わります。違反が懲戒対象となるには、就業規則に明記されている必要があります。規定が曖昧だと「処分の正当性が争われる」リスクが高まり、労働審判や裁判に発展する可能性もあります。
4-2 曖昧な規定が招くトラブル事例
例えば「不適切な言動を禁止する」とだけ記載されている場合、何が不適切かの判断でトラブルが生じます。曖昧さが残ると処分の妥当性が問われるため、「職場内での暴力・ハラスメント行為を禁止する」と具体的に書くことが必要です。
5. 服務規律を効果的に機能させる方法
5-1 従業員への周知・教育の徹底
服務規律を定めても、従業員に周知されていなければ効果はありません。入社時のオリエンテーションや定期研修で服務規律を説明し、全員が理解・遵守できる環境を整えることが重要です。
5-2 定期的な見直しと社労士活用の重要性
社会環境や法改正に応じて、服務規律も見直しが必要です。特にテレワークや副業解禁など新しい働き方に対応するためには、専門家である社労士のアドバイスを受けながら改訂するのが安心です。
まとめ
服務規律は、職場秩序を守り従業員が安心して働ける環境を整えるために欠かせないルールです。明確な表現と自社に合った内容を盛り込み、従業員への周知と定期的な見直しを徹底することで、トラブル防止に大きく役立ちます。
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